音楽的な上演〜ITCL『ロミオとジュリエット』

 獨協大学でインターナショナル・シアター・カンパニー・ロンドン『ロミオとジュリエット』を見てきた。毎年来日している劇団で、最小限の道具しか使わず、少人数で1人がいろいろな役をやりながらシェイクスピアを上演するのが特徴である。英語の上演で、字幕がつく。

 見た目はシンプルだが、かなり工夫された上演だ。ついたて二つだけでセットを作り、舞踏会の場面ではこれを役者が動かしながら、ほんの数人で大勢の人々がダイナミックに踊る雰囲気を作り出している。前半は非常に喜劇的、後半は悲劇的にメリハリをつけた演出である。全体的に歌が多く、ロミオやマキューシオが男ばかりでちょっとバーバーショップみたいな歌を歌ったり、音楽を使って若者たちの恋心を盛り上げる上演だ(ジョン・ダウランドの「流れよわが涙」も使われている)。ロミオはもちろんマキューシオもかなりハンサムな伊達男風に作っており、マキューシオが死ぬところなどは非常に悲しいタッチになっている。こんなに人数が少ないのに、おそらく愛とか死を表していると思われるコロス的な人物も登場する。

 テクストはかなりカットされており、私が好きな台詞「哲学でジュリエットが作れますか!」が含まれている、ティボルトを殺してしまったロミオがロレンス修道士に泣きつく場面がカットされているのは個人的に悲しかった。あと、バルサザーではなくベンヴォーリオがロミオにジュリエットの死を知らせに来る展開になっているのだが、私はいつもここで知らせにくるのはベンヴォーリオであるべきだと思っているので、この演出は我が意を得たりという感じだ。