となりのトトロぬいぐるみも出演~グローブ座『ロミオとジュリエット』(配信)

 グローブ座『ロミオとジュリエット』を有料配信で見た。Ola Inceによる演出で、グローブ座が久しぶりに実施するお客さんを入れて行う上演の一環…なのだが、なんとティボルト役が隔離になってしまったそうで代役だった。イギリス時間で夜の公演しかライヴ配信がなく、仮眠して午前3時から見たのでちょっと寝ぼけ気味で観劇した。

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 1時間50分程度とけっこう短く刈り込んだ上演で、2019年のグローブ座のプロダクションに続いて非常に若者向けに作られた作品である。ジュリエット(レベッカ・マレル)は16歳という設定で、いかにもティーンの女の子っぽい丸っこいベッドに寝ている。ジュリエットの部屋にはトトロのぬいぐるみがあり、これは途中で乳母を懐柔する時に活躍する。生演奏を活用した音楽の使い方なども効果的で、ライオネル・リッチーの「ハロー」の使い方は笑った。美術も衣装も現代風で、使われている武器は剣でなく銃である。

 ただ、たまに現代の若者が直面している問題(鬱とか)についての台詞の解説が入って、さらに後ろにそれに関する字幕まで出るのは全く要らないと思った(これがそういうテーマを扱った芝居だというのはわざわざ台詞と字幕で説明しなくてもわかるだろうと思う)。後ろの字幕はいろいろ解説みたいなのが出るのだが、これは全部カットしてもいいのではという気がする。あと、全体的に若者向けのせいなのか、暴力も色気も控えめで、ロミオ(アルフレッド・イーノック)とジュリエットの間にロマンティックでセクシーな緊張感があまりない。さらにティボルトがマキューシオ(アダム・ギレン)を殺し、ロミオがティボルトを殺すところは舞台上できちんと決定的な傷を負うところを見せていなくて(カメラワークのせいもあってけっこう動きが追いにくかったが)、これは舞台上でやるべきでは…と思った。さらに死んだマキューシオとティボルトを舞台上に出しておく必要もそんなに無いように思った。