年齢の変化~日本大学芸術学部演劇学科公演『卒塔婆小町』

 日本大学芸術学部演劇学科総合実習IIAの公演である『卒塔婆小町』を見てきた。三島由紀夫の『近代能楽集』の一本で、1時間足らずの短編演目である。稲葉賀恵(2016年の『野鴨』の演出家)の演出によるもので、出演はもちろん学生である。

 新型コロナウイルス流行の中、大変だったと思うのだが、低予算の小規模な上演のわりにはなかなかしっかりしていたと思う。基本的にテクストにけっこう忠実なのだが、最初のところで公園のカップルにレズビアンらしい2人がいるあたりはアップデートだと思った。この演目はヒロインがおばあさんから若い女性に変わる年齢の変化がポイントなのだが、ちょっとおばあさんが若めではあるものの、努力の跡が見えた。また、手提げの色の噂話とか、たまに笑えるところがあるのも良かった。