ブリッジシアターでニコラス・ハイトナー演出『ガイズ&ドールズ』を見てきた。
この演目は一度カナダのストラトフォードで見たことあるのだが、その時もエリザベス朝風の張り出し舞台を使った演出でわりと客席と舞台が近い感じだった…のだが、ブリッジシアターなので完全にイマーシヴである。客席の真ん中に可動式の舞台を置いて、入退場の時は職員がお客さんに道を作ってもらって役者が入ってくる。あまりそういうことを考えたことはなかったのだが、『ガイズ&ドールズ』は途中で救世軍の集会場での"Sit Down, You're Rockin' the Boat"などお客さんがまるでその場にいるかのような臨場感で歌われるナンバーもあるし、けっこうイマーシヴ系の上演に向いているのかもしれない。
全体的にはとても楽しい演出である。アデレード(ティミカ・ラムジー)とサラ(セリンデ・シェーンメイカー)がボーイフレンドの実のなさをバーで嘆きながら互いを慰め合うところはこの作品の中でも一番心にしみるところだと思うのだが、気丈なアデレードがサラを気遣ってあげるあたりの優しさが大変良かった。最後のところはそれまで伊達男のギャンブラーだったスカイ(ジョージ・アイオニデス)が神妙な面持ちでサラの救世軍事業のお手伝いをしており、これはイギリスの演出だからかもしれないがちょっと王政復古期のロマコメ(プレイボーイが真面目な令嬢に飼い慣らされて結婚するタイプの話)みたいだと思った。
ちょっと通常の演出と違うのはハバナの場面である。ここでは通常、サラがスカイが地元のいい女と踊っているのに嫉妬し、酔っ払った勢いで相手の女をぶん殴るという展開なのだが、この演出ではスカイが男性とセクシーに踊って盛り上がっているところにサラが嫉妬してぶん殴るという演出になっている。スカイがちょっとバイセクシュアルな感じで、サラがそれに対等に嫉妬しているところが面白かった(つまりサラはスカイが男性と踊っているのがイヤなんじゃなく、ライバルになりそうなイケてる男性と踊っているのがイヤだからぶん殴った)。他の場面でも当然のようにレズビアンのカップルが出てきたり、クィア系の現代的な味付けがある。
なお、第二幕最初のところで何かトラブルがあって10分くらい公演が停止した。その直前にアデレードが急に舞台から下りていってスタッフが駆け寄っていたので、何かアデレードの衣装とかマイクのトラブルではないかと思う。その後、無事再開した。