シンプルな美術のしっかりした上演~ポーランド国立バレエ『ロミオとジュリエット』(配信)

 ポーランド国立バレエの『ロミオとジュリエット』を配信で見た。今年の2月27日に上演されたものの映像である。

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 私が見慣れているマクミランのイギリス風のバージョンとはがらりと雰囲気の違う、ヨーロッパ風の『ロミオとジュリエット』である。ファシズムが伸張し始めた1930年代くらいが舞台らしく、その頃のヨーロッパの町並みを背景にしたセットなのだが、美術も衣装もかなりシンプルである一方、舞踏会の場面では鏡を使ったなかなか効果的な見せ方がとられている。全体的にキャラクターの作りがしっかりした上演だ。ジュリエット(海老原由佳)には乳母がいなくて、そのかわりに友人らしい同年代の女性が2人出てくる。このレビューでも言われているのだが、ふつうは若々しい女の子であることの多いジュリエットはこのプロダクションでは若いとはいえ大人の女性で、優男ふうの若いロミオ(パトリック・ウォークザック)にくらべるとだいぶいろいろなことを考えていそうな雰囲気がある。

 ちょっと驚いたのはティボルト(Maksim Woitiul)がマキューシオ(Dawid Trzensimiech)を刺すところである。途中まではふざけたマキューシオが苦虫をかみつぶしたような顔のティボルトをからかって、コミカルでちょっとアクロバット風に動き回る感じである。ところがその後、マキューシオがティボルトから一本とってケンカも終わりか…という感じで動きが止まったところで、マキューシオが後ろを向いて歩いているすきにナイフを手にしたティボルトがいきなり背後から刺すというかなり卑怯な戦い方になっている。怒ると手が付けられず、男の面子にかなりこだわっているらしいいティボルトと、本気でケンカをするよりはふざけて冗談を言うのが好きそうなマキューシオの対比がはっきりしており、ティボルトが卑怯すぎてロミオが激怒するというような流れになっている。