愉しいミュージカル版〜『シスター・アクト〜天使にラブ・ソングを』

 『シスター・アクト〜天使にラブ・ソングを』を見てきた。原作はウーピー・ゴールドバーグ主演の大ヒット映画『天使にラブ・ソングを… [DVD]』である。

 あらすじは結構似ており、ギャングのボーイフレンドが殺人を犯すところを目撃してしまったクラブ歌手のデロリスが証人保護措置として女子修道院に匿われ、修道院のド下手な聖歌隊を特訓してゴスペル調の聖歌を歌わせる…というところはもとの映画と同じである。ただ、舞台になっている場所は映画版のリノとサンフランシスコからフィラデルフィアになっているし、また後半の展開が違う。映画版ではギャングに誘拐されたデロリスを助けるため修道女たちがリノに向かうという展開になっているが、舞台版ではデロリスを誘拐しようとギャングたちが修道院を襲撃する。また、デロリスと警官エディのちょっとしたロマンスも描かれる。

 ちょっととっちらかった感じのする展開もあったが、全体としては明るく愉しいミュージカルで、とくに今まで友達もなく、しょうもない男との不倫関係に陥って仕事も行き詰まっていたデロリスが修道院で初めて友達を得、自分に自信をつけていく過程は見ていてとても愉快だ。修道女同士の連帯が歌うことを通して強まっていく様子が明快に描かれており、こうした友情の表現で音楽を贅沢に使えるところはミュージカル版の強みかなと思った。最後は修道女皆がキラキラのド派手な衣装を着て歌い踊るというなんともアメリカンミュージカルな展開で、さらにデロリスが憧れていたドナ・サマーそっくりの衣装で現れるというオマケつき。