展示方法に不満〜ラフォーレ原宿「魔女の秘密」展

 ラフォーレ原宿で「魔女の秘密」展を見てきた。とにかく展示がすごい激込みでゆっくり見るどころじゃなかったのだが、内容はかなりショボかった。

 展示されているものじたいはけっこう良いものもあり、絵とか写本のファクシミリ版とか彫刻とかなかなか面白いところもある。ところが、狭いところにいろんなものが並んでいるだけで解説が全然ちゃんとしておらず、いつどういう地域で使用されていた何なのかとかがわかりづらい。子どもも見ることを想定しているのでやさしめの解説になっているというのはわかるのだが、それにしてもかなり情報不足だろう。子どもだってもっといろいろ調べたいと思う子いると思うぞ。
 また、展示品の並べ方に一貫性があまりなく、ちょっと何の話をしたいのかよくわからなかった。最初に「魔女の伝統的なイメージとは」「魔女というものの宗教的背景」とかに関する基本的な解説が一切ないまま、現代日本の魔女のイラスト展示から魔女よけのお守りの展示に入っていくので、魔女とは何なのかよくわからんまま、今まで持っていたとおりいっぺんのイメージで展示を見るしかなくなる。いくらなんでも最初にもうちょっと伝統的にヨーロッパで「魔女」とされてきた存在じたいについて明快にわかるような展示を持ってくるべきだろう。さらに、18世紀くらいの話をしていたかと思うといきなり次のパネルで中世の話になったりするところもあり、時系列のほうも行き当たりばったりだ。
 あと、魔女の展示なのに女性史とかフェミニズムについての言及が一切無いし、さらに宗教改革とかペイガニズムみたいなスピリチュアルな伝統についてのがっつりした説明も無い。これはかなり食い足りない。

 図録はグリムなんかの解説もあって展示よりだいぶ良さそうだと思ったのだが、噂によると図録にもかなりおかしいところがあるらしい。