発想はいいのにフツーのメロドラマになってしまった〜『フラワーショウ!』

 アイルランドの映画『フラワーショウ!』を見てきた。

 ランドスケープデザイナーであるメアリー・レイノルズの実話をもとにした映画で、チェルシー・フラワー・ショーに雑草だけの庭で出展しようとするアイルランドの田舎娘の奮闘を描いた作品…ということでスポ根みたいなコメディを想像して見に行ったのだが、なんかあまり笑うところがなく、フツーのメロドラマみたいになっていてそんなに面白くなかった。この設定ならいくらでも面白い喜劇にできると思うのだが…

 とりあえずはしょるところとじっくり描くところのバランスがかなり悪い。立ち上がりはやたら早いのにエチオピアでのロマンスのシークエンスが長く、一方でフラワーショーの準備で塩素の文章を間違って大失敗するあたりとかはやたらすぐ解決してしまうので、メリハリがかなりイマイチだ。もっと挫折→解決の繰り返しをテンポよくかつ盛り上げて描写しないと映画として面白くならない。あと、恋愛話にこだわりすぎだ。正直、クリスティとの恋愛描写は全くいらないのではと思ったし、また最後にクリスティがシャーに呼ばれるあたりの描写は作中であまり盛り上げる機能を果たしていないので全部いらないと思う。環境問題が重要なテーマであることはわかるが、もうちょっとスピリチュアルな雰囲気を少なくしたほうがこのメッセージはよく伝わるのではとも思う。

 ベクデル・テストは一応パスする。メアリーが他の女性と庭の話をするところがいくつかあるからだ。