ブレナム宮殿

 ブレナム宮殿に行ってきた。ここはモールバラ公爵家の屋敷でけっこう辺鄙なところにある。私は博論でブレナム文書を使ったので(公刊されてるやつ)一度来てみたいと思っており、やっと訪問できた。

 世界遺産になっており、大変立派なお屋敷である。



 お屋敷の中。


 この屋敷で生まれたモールバラ公爵家出身の有名人(爵位は継承してない)、ウィンストン・チャーチルについての展示室がある。





 すごく立派な図書室。


 アン女王の像。初代モールバラ公爵夫妻はアン女王からこの地所をもらった。私が博論で史料を読んだサラ・チャーチルが初代公爵夫人で、アン女王の腹心の部下だった。

 教会。


 通常の公開箇所の他、有料でいろいろなツアーが実施されている(私的スペースなので全て撮影不可)。階上ツアーではこれより上の階にある部屋、階下ツアーでは使用人スペース、公爵の私室ツアーでは夏に公爵夫妻がいない間だけ私室を公開している。
 階上ツアーではいろいろ豪華な部屋を見せてもらえる。王族がサインしたゲストブックを見せてもらえたり(国王がゲストブックにサインするときはページ一枚全部をその王のためにとっておいて、次のページから他のゲストがサインするらしい)、アマチュア演劇をやった記録(これが私が博論で言及した記録だ!)なんかについて詳しい説明を受けることができたりする。ここで聞いた話では、なんでも寝室のベッドに丈夫な天蓋がついているのは、天井が高い部屋では上までなかなか手入れが行き届かないのでクモとか天井の塗料とかが落ちてくることがあるからだそうである。ゴミよけだったとは…
 階下ツアーでは新聞紙にかけるアイロンとか、領地でとれるキジの処理についてとか、いろんな物品を見せてもらって説明を受けることができる。個人的には文書室がすっごい気になったが、ここは無許可では入れないらしい。このツアーできいた公爵の執事のエピソードが面白かったのだが、ある時、公爵の執事は何をやってるんですかときいたら、執事は「公爵と寝る以外、妻がすることは全部やります」と答えたらしい。これは妻がするような仕事を委託すると執事1人雇えるだけの賃金が発生するということで、つまり執事を雇っていない家の妻は無償労働してるということだと思う。
 公爵の私室ツアーはたいへん豪華なのにえらく生活感があり(掃除するくらいで展示用のセッティングにはしていないとのこと)、テディベアとかうさぎのぬいぐるみとかがそこらへんに置いてあったり、本が積んであったりする。公爵夫妻は雉撃ちのシーズンしか屋敷にはいないそうである。

 展示室。モールバラ公爵家関係者と戦争についての特設展をやっている。

 お庭は大変立派である。



 ウィンストン・チャーチルの記念碑。






 風景式庭園のほうはかのケイパビリティ・ブラウンがデザインした有名なものだが、めちゃめちゃ広い。とうてい歩いて回れる広さじゃないと思うくらいだ。









 これ、ハリー・ポッターの木。映画のロケで使用された。スネイプ先生が子どものときにジェームズにいじめられた場面のロケがここだったらしい。今は子どもの遊び場になっている。