技術がコンセプトについていってない〜シェイクスピアシアター『お気に召すまま』

 シェイクスピアシアター『お気に召すまま』を見てきた。学生引率でゼミ生を連れて行った。

 全く何もないからっぽの空間で普段着の若い役者がしゃべるというもので、セットとか小道具のたぐいもほとんど無い。やりたいことはまあわかるのだが、別にからっぽの空間でやるというのはそんなに珍しいことではないし、からっぽの空間にいろんなものがあるように見せるだけの技術が必要である(私はミニマリスムが嫌いなのでこの手の舞台には懐疑的だが、まあうまくやればいいものになる可能性があるのは認める)。この上演では全く技術はついていってないと思った。役者が早口すぎたりしてちょっとセリフを処理しきれていないと思うし、全体的に笑いの間が悪い。キャスティングもけっこう疑問を抱くようなところが多く、とくにオーランドーはなんかテンションが低くて腹が減ると機嫌が悪くなるタイプには見えないのが良くない。あと、こういうミニマリストな舞台では音楽は生演奏にしないとダメだろうと思うのだが、それだけ間抜けな録音を使って歌だけのせているのはまったくいただけない。あと、カットがほとんどない上演だったのだが、なぜか終盤のロザリンドが着替えてる間にタッチストーンが決闘とかについていっぱい変なことを話すところはカットされており、疑問を感じた。

 前半はかなり退屈だったのだが、後半はまあちょっと良くなり、笑えるところが増えた。とくにフィービーがとても上手で笑わせてくれたのでよかった。オードリーとタッチストンが出てくるところもよかったのではないかと思う。あと、ジェイクイズが非常にマッチョな感じで途中でこっそりダンスしたりするという変わった演出で、いかにも昔遊び人だったがそれが嫌になったという雰囲気で、それはよかった。