ネコが人生の問題を全て解決する!〜『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(ネタバレあり)

 『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』を見てきた。ノンフィクションの映画化で、大部分実話に基づいており、登場する猫のボブを演じているのは実際のボブらしい(クレジットからすると代役は何匹もいたようだったけど)。

 主人公のジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)はドラッグ中毒でホームレスのストリートミュージシャンで、ボロボロの暮らしをしているのだが、親身になって面倒を見てくれているソーシャルワーカー、ヴァル(ジョアンヌ・フロガット)の紹介で公営住宅に入居できるようになる。そこで茶トラの迷い猫を拾ったことから人生が全部上向きになりはじめる。猫のせいで近所に住む動物好きの若い女性ベティ(ルタ・ゲドミンタス)と知り合い(彼女にボブという名前をつけてもらう)、孤独が癒やされるようになってボブの面倒を見ないといけないという責任感が芽生える。街で演奏する時に猫のボブを連れて行くと皆がボブを可愛がってお金をくれるようになり、トラブルで『ビッグ・イシュー』販売に転職した後もボブのおかげで商売繁盛する。さらには新聞の取材や本の出版の話まで…

 基本的に猫がいれば人生の全てがうまくいく!というような話で、どんだけ猫が好きなんだと思ってしまうところもある…のだが、実はボブを拾ったのもヴァルが公営住宅を紹介してくれたことがきっかけなので、やはり屋根の下で安心して眠れるようになるということが一番大事なのだろうなと思った。茶トラのボブはとても芸達者で可愛らしいし、ロンドンの風景はロケで上手にとってあるし、まあ気持ちよく楽しく見られる作品だ。なお、ベクデル・テストはたぶんパスしないし、あとベティの描き方は動物好きなわりに妙にボブに冷たくてちょっと一貫性がないところもある。