ボンドガールが変顔と戦うのを見られるのはこのシリーズだけ!~『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』(ネタバレあり)

 『ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲』を見てきた。イングランド一使えねー女王陛下のエージェント、ジョニー・イングリッシュシリーズ第3作である。

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 ジョニー・イングリッシュ(ローワン・アトキンソン)はMI7を退職して学校で地理教員をしており、スパイ技術を生徒にこっそり教えていて、大人気の先生だ(むしろスパイより教師のほうが向いてるのでは…)。ところが英国政府をターゲットにした大規模なハッキングでエージェントの全情報が流出。引退したスパイたちが呼び戻され、ひょんなことからジョニーは仕事に復帰することに…

 

 とにかくバカな映画で、相変わらず無駄に豪華なキャスティング…なのだが、なんと冒頭でチャールズ・ダンスマイケル・ガンボンエドワード・フォックスという名優たちが出てきてすぐ居眠り(!)のせいで退場という展開になる。首相役はエマ・トンプソンだ。前作に引き続きイングリッシュの相手役の女性を演じるのは元ボンドガールで(前回はなんとロザムンド・パイクだった)、今回はオルガ・キュリレンコがロシアのエージェントを演じる。美しくタフなボンドガールがジョニー・イングリッシュの変顔あふれる諜報活動(?)に巻き込まれるのを見られるのはこのシリーズだけである。まあいろいろツッコミどころのある映画ではあるのだが、私はこのバカバカしいシリーズが大好きだ。

 

 今作ではジョニーがまったく世の中の変化に追いつけていないことがギャグになっている。スマホタブレットもまともに使えなそうだし、VRを使う訓練では大失敗するし、電気自動車の威力を侮って追跡ではガス欠になり、さらに性差別的な偏見が邪魔して部下のボフの妻が原潜の艦長だということがパッとわからないなど、世の中の習慣の移り変わりが理解できていないのでばかばかしい失敗をしまくる…のだが、最後はアナログな物理力でザッカーバーグのパチモンみたいなワルいIT長者を倒す。イングリッシュはその名のとおり古き良きイングランドらしさを象徴する人物ではあるのだが、彼が象徴するイングランドらしさというのは限りなくおバカなものである。さらには今回はスコットランドらしさまで発揮してしまい、民族衣装の下には何も着ないという伝統を守ったため最後は英国人らしさ丸出しになってしまうというオチもつく。

 

 このシリーズはけっこう地元ネタのギャグなども入るので、字幕は苦労していたと思う。重要なスパイグッズとして出てくる「シャーベット」(Sherbet)というのがあるのだが、これはイギリスでよく食べられている粉状のおやつである。最初の字幕では「ソーダ粉」となっていたのだが、次に大事なポイントで出てくる時は字幕表示が「シャーベット」という字幕になっていて、ちょっとわかりづらいのでは…と思った。なお、ベクデル・テストはパスしない。