イマイチ盛り上がらず、演技を見る映画~『天才作家の妻 -40年目の真実-』(ネタバレあり)

 『天才作家の妻 -40年目の真実-』を見てきた。

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 ジョーン(グレン・クローズ)の夫である小説家、ジョゼフ(ジョナサン・プライス)が念願のノーベル文学賞を受賞することになる場面から始まる。家族で授賞式のためストックホルムに向かうが、実はジョゼフの小説はジョーンが書いているのではないかという疑惑が…

 

 全体的に、せっかく記者のナサニエルクリスチャン・スレーター)が出てくるのに、ジョーンが実際にジョゼフの後ろでどういうことをしているのかに関する開示の過程があんまり盛り上がらず、単純にグレン・クローズの演技を見るだけみたいな映画になっていると思う。ナサニエルがなんでジョーンが実際はジョゼフの小説を書いていると思ったのかについての説明が少ないし、その後はジョーン視点でけっこうストレートに情報が開示されてしまうので、ここでナサニエルが出てくる意味はあるんだろうか…とかなり疑問に思った。「完璧なMeToo映画」とか言われているらしいのだが、それにしては全く開示のプロセスに意外性がないし、別にジョーンは勇気を振り絞って誰かを告発したとかじゃないので、これはそういうふうに見るべき映画ではないと思う。共依存関係を描いた映画としてはまあ丁寧なのかもしれないが、クローズの演技と周りを固める助演陣の芝居に頼りすぎで、台本としては別にそんなに面白くはないと思った。なお、ベクデル・テストはちょっと微妙だが、ジョーンと娘の妊娠についての会話でパスする。