いいところもたくさんあるが、ちょっと作りが粗い~『ニューヨーク最高の訳あり物件』

 マルガレーテ・フォン・トロッタ監督の新作『ニューヨーク最高の訳あり物件』を見てきた。

www.youtube.com

 夫ニック(ハルク・ビルギナー)と離婚の瀬戸際にある元モデルで新進デザイナーのジェイド(イングリッド・ボルゾ・ベルダル)が住むニューヨークのアパートに、ニックの元妻であるドイツ人のマリア(カッチャ・リーマン)が転がり込んでくる。なんとニックの財産契約のせいで、この家の半分はマリアのものになっていたらしい。さらにマリアの娘であるシングルマザーのアントニア(ティンカ・フュルスト)が子連れでやってきて、ジェイドの人生にはいろいろな変化が…

 

 最初はケンカばかりしていたジェイドとマリアがだんだんお互いを理解するようになったり、アントニアと仲良くなったジェイドに対してマリアがちょっと複雑な感情を抱いたりするあたりは面白い。しかしながらところどころ作りが粗いところが見受けられ、たぶん働けるビザは持っていないと思われるアントニアが流れでジェイドと働き始めるなど、ちょっと唐突な展開がいくつかある。とくに終盤の展開は説明がなさすぎると思った。女優陣はとても好演しているし、ヒロインが2人ともアメリカ国籍ではないニューヨークの映画というところは地元の事情をよく反映しているのだろうなと思うのだが、もうちょっといろいろ頑張れたのでは…と思う。