かなり頑張っているアメリカの笑劇~三越劇場『ザ・フォーリナー』

 三越劇場で『ザ・フォーリナー』を見てきた。これは以前一度アメリカで見たことあるので、あらすじなどはそちらを参照してほしいのだが、簡単に言うと、ものすごく無口なイギリス生まれの男チャーリー(江田剛)が、旅先のジョージア州の田舎で話すのを避けるため外国人のふりをしたところ、チャーリーは泊まった民宿の人たちの人気者になってしまい、それを妬んだKKKが襲撃してくるという話である。

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 この手のアメリカの笑劇はなかなか笑いのコツをつかむのが大変だと思うのだが、若いキャストが多いわりに非常に頑張っており、小田島訳の台本もしっかりしているし、去年の初見時ほどではないが(だいたいの笑劇は英語圏で見るほうが盛り上がって笑えることが多い)、相当笑えた。セットの美術もしっかりしていて、いかにもおばちゃまがこだわって整えているアメリカの民宿という感じである。前見た時よりもチャーリー(江田剛)と友達であるフロギー(徳山秀典)が若く、チャーリーはシャイで可愛らしい若者、フロギーは颯爽としたエリート青年軍人という感じである。チャーリーは無口で恥ずかしがり屋とはいえわりと愛嬌のある青年なのだが(演じている江田がかなり笑いのツボを心得ていて、イヤな感じにならないように笑わせてくれる)、一方でデイヴィッド(高田翔)は顔は良いけどイヤミな奴風に作っており、これなら南部令嬢キャサリン(小島梨里杏)は婚約者デイヴィッドよりもチャーリーになびくだろうなーと思って見ていた。また、アメリカで見た時同様、発達障害のあるエラードをあんまりバカにしないよう気を遣っていると思った。

 この芝居はおバカな喜劇なのだが、終盤のKKKが出てくる展開はちょっと怖い。とくに私は来週からなんとシャーロッツヴィルに出張で、ちょっと他人事とは思えないところがあった。最後にデイヴィッドが馬脚を露して人種差別主義をさも良いことのように話始めるところは正直、背筋が寒くなる。