個人的にすごく苦手~Les Blancs (配信)

 ナショナル・シアターの配信でLes Blancsを見た。ロレイン・ハンズベリの1970年の戯曲を2016年にナショナル・シアターがヤエル・ファーバー演出で2016年に上演したものである。

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 舞台はアフリカのどこかにあるプロテスタントの伝道診療所である。ここにアメリカから白人のジャーナリストであるチャーリー(エリオット・コーワン)がやってくる一方、ヨーロッパで仕事をしていたツェンベ(ダニー・サパニ)が父の死に目にあうために帰ってくる(これは間に合わなかった)。この地域では植民地主義に対する抵抗と革命の機運が高まっており、きなくさい空気が流れ始めているが…

 人種差別と帝国主義を鋭く描いた作品である。伝道施設の維持に携わっている白人たちの態度についても露骨な差別主義と、一見ものわかりが良いように見えるが実は保護者ぶった態度にグラデーションをつけつつ、両方に対する批判的な目をむけている。最後もかなり妥協のない結論になっている。

 しかしながら、私は個人的にこの作品がかなり苦手だった…というのも、作中におそらくアフリカを象徴すると思われるセリフのない女性がいるのである。植民地の苦しみを女性(しかも無言)に象徴させるというのはジェンダー化としてかなり問題があるように思う。自らのために戦ってくれる戦士を求める女性としての植民地というシンボリズムはアイルランドのキャスリーン・ニ・フーリハンがおなじみだが、実際の植民地の女性から主体性を奪うことにつながる。そしてこの芝居ではあんまりこの無言の女性としてアフリカを表現するスタイルがきちんと批判的に検討されているとは言えないと思ったし、さらに主体性を持って行動している現地の女性というのがほぼ出てこない。これがアメリカで育った黒人女性がアフリカについて書いた芝居だということを考えると、相当ひっかかる。