7カ国連合軍が襲ってくる~カクシンハンスタジオ『ジュリアス・シーザー』

 シアター風姿花伝でカクシンハンスタジオ『ジュリアス・シーザー』を見てきた。ふつうにやると3時間以上かかる芝居を100分くらいに縮めたというものである。

 

 いつものカクシンハンどおりクロスジェンダーキャスティングである。ブルータス(渡部哲成)は男優なのだが、キャシアス(柳本璃音)などはだいたい女優が演じている。やはりスタジオ公演だけあり、場慣れしているブルータス以外はちょっと台詞回しに未熟なところもあったのだが、スピード感のあるエネルギッシュな演出は面白かった。わりとシンプルな序盤に比べると終盤のヴィジュアルがけっこう凝っていて、内戦の場面はセットがホワイトストライプスの"Seven Nation Army"みたいな三角形を基調にしたセットに赤っぽい照明があたり、楽曲もほぼホワイトストライプスしかかからなくなる。しかもホワイトストライプスにしても戦争とか征服とかをテーマにした曲中心で、スポーツの応援歌で政治でも使われる"Seven Nation Army"が使われるところとかはちょっと不穏である。

 ただ、終盤の女性陣がローマの男たちを相対化するようなふるまいをするという演出は、たぶん台本が100分に刈り込まれているせいだろうと思うのだが、詰め込みすぎかつ駆け足すぎてあんまりきちんと詰められていない印象を受けた。ああいう演出はもうちょっと長く時間をかけてやったほうがいいのではないかと思う。あと、音楽と台詞がかぶるとかなり台詞が聞こえづらくなるのもあまり良くないかもしれない。

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