ちょっと演出の基本コンセプトがグラインドボーンに似すぎでは…東京オペラシティ『リナルド』(配信)

 東京オペラシティで上演された鈴木優人プロデュースオペラVol.2、バッハ・コレギウム・ジャパンの『リナルド』を配信で見た。ヘンデルバロックオペラである。セミ・ステージ形式の上演というのは今回、初めて見た。

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 新型コロナが流行っている中、こういうふうにバロックオペラの映像を配信してくれるのは非常にありがたい…のだが、ちょっと演出のコンセプトが6月に配信されたグラインドボーンの『リナルド』に似すぎているのでは…?と思った。この『リナルド』は、リナルドにあたる登場人物(藤木大地)がゲームやフィギュアの好きなオタクっぽい青年で、そのフィギュアが想像でオペラの登場人物になってゲーム『リナルド』の物語を展開し…というような内容なのだが、グラインドボーンの『リナルド』も学校に通っている歴史好きの少年が見た夢がオペラになるというもので、どっちもオタクっぽい若者の夢という話の枠を作っているところがかなり似ているように感じられた。もちろん違いはあり、アルミレーナ(森麻季)が写真集を出しているアイドルで、リナルドも恋敵のアルガンテ(大西宇宙)もアルミレーナの2作目の写真集を持っていたりとか、あと音の点では鳥の鳴き声みたいな効果を強調していたりとか、個性はあるのだが、やはりちょっとかぶりすぎているような気がする。ただ、これはセミ・ステージ形式でわりと規模が小さいからで、ちょっと大きめのステージでかなり動きながらやるようなやり方だともう少し類似が気にならなくなるのかもしれない。また、全体として『リナルド』はやっぱりこういう枠に入れないと、今では上演しにくいのかな…という気もした。