銀座のカフェをグローブ座に~カクシンハンPOCKET11『ロミオとジュリエット』

 カクシンハンのポケット公演『ロミオとジュリエット』を月のはなれで見てきた。カフェの屋上野外席で飲み物などが出て、60分強で『ロミオとジュリエット』を楽しめるというプロダクションである。

kakushinhan.org

 キャストや演出は去年の11月に配信したもの(現在、この演出に沿ったものをオンライン配信中)をベースにして、3人だけでシンプルに上演するというものである。かなり狭い場所でやるので、それにあわせていろいろなところを変更している。スペース上の関係で生演奏はつけられないし、カクシンハン定番の山のようなパイプ椅子とかゴミとかもあまり使えないので(新聞は前と同様に使っている)、より一層シンプルな舞台設定にしている。カフェの通路から乳母(大山大輔)が駆け込んでくるところでは飲み物を運んでいるカフェの店員さんとすれ違うアクシデントもあり、そこでは笑いが起こった。外の音とかがけっこう入ってくるところは、小さいながらもグローブ座風と言えるかもしれない。

 全体的には笑うところもあり、単純に短くしていながらもツボを押さえたプロダクションである。以前もそうだったが、カクシンハンの『ロミオとジュリエット』は乳母がわりと原作よりも優しく、若者たちを助けようとするがうまく果たせない大人として描かれているところに特徴があると思う。原作と違ってジュリエット(柳本璃音)に対してあんまりあからさまに再婚をすすめないし、ロミオ(根本啓司)にジュリエットの死の知らせを持っていくところは大変悲しそうで、責任を感じているように見える。

 

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