能舞台の撮影はなかなか難しい~鮭スペアレ『リチャード三世』(配信)

 鮭スペアレ『リチャード三世』を配信で見た。坪内逍遥訳『リチャード三世』を能舞台で上演するというものである。全部通しでやるのではなく、一部の場面を抜き出した短い公演である。

syake-speare.com

 正直、コンセプトとして示されている「肉体を持たないリチャードがリチャードであり続けるための「儀式」の形を借りた演劇」という解釈については私はピンとこないのだが(身体のあるキャラクターから離れるみたいな解釈でシェイクスピアをやってもそんなに面白くならないと思う)、坪内の台詞をきちんと消化してやっているところや、音楽の使い方、わりと工夫のある衣装などは良かった。ただ、能舞台を撮るというのはちょっと大変だと思った。何しろ奥の方が暗くなるし、けっこう引いて撮らないと全体の様子がよくわからない。