お洒落なセットのゴージャスな上演~ガーシントンオペラ『薔薇の騎士』(配信)

 ガーシントンオペラ『薔薇の騎士』を配信で見た。2021年10月30日の上演である。ジョーダン・デ・スーザ指揮、ブルーノ・ラヴェラ演出によるものである。

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 全体的にセットがものすごくお洒落である。全体にわたってセットは大きなうねる葉っぱみたいな装飾が特徴で、第1幕は親密感のある夫人の私室、第2幕は奥行きのある広間、第3幕は入れ子みたいなセットでいかにもオックス(デリック・バラード)の歌によく似合う少しダークな色使いのちょっと後ろ暗い感じの場所にしている。衣装も華やかで、マルシャリン(ミア・パーション)が何種類ものドレスやガウンを着こなしている。時代設定はわりとぼかしている感じである。

 オクタヴィアン(ハナ・ヒップ)がゴージャスなマルシャリンとのエロティックな恋から、同じくらいの年齢のゾフィ(マディソン・レナード)とのプラトニックで可愛らしい恋に移っていく様子をはっきり描く上演だと思う。冒頭部分はかなりセクシーで情事の余韻に浸るオクタヴィアンの表情がなまめかしい音楽にのって強調されているのだが、最後の場面でソフィと手をつなぎ、澄んだ声で重唱するオクタヴィアンはむしろ少年みたいである。ゾフィもただの世間知らずな女の子というよりは洗練されたお嬢さんという感じで、オクタヴィアンとよく似合う。