コミカルなオールメール上演~東京芸術劇場『夏の夜の夢』

 東京芸術劇場でアーティストジャパンによる『夏の夜の夢』を見てきた。今井豊茂演出によるオールメール上演である。

 テープみたいな緑の線がいろいろなところにある森らしいセットで、ちょっと先日見た『オルフェオ』に似ているが、雰囲気はだいぶ鬱蒼とした夜の森である。この森に恋人たちや妖精たちがまぎれて、ある時は隠れて立ち聞きし、ある時はうっかりヤブにツッコんでしまい、てんやわんやといった感じになる。1時間55分のコンパクトな上演である。

 だいぶコミカルな内容で、たまにアドリブも入ってドタバタした感じのところも多い。若い男性中心のキャストで、セリフ回しの巧拙は役者によりでこぼこがある感じで、けっこううまくセリフをこなしている人もいれば、イマイチ明瞭さが足りないなぁと思う人もいるといった感じである。恋人たちや職人劇団、妖精たちはわりと活躍するのだが、台本を短くしたせいなのかシーシュース(深澤大河)とヒポリタ(弦間哲心)がちょっと単純化された感じで、シーシュースは最初はけっこうハーミア(山本一慶)に冷たいのに終盤で急に機嫌が良くなって恋人たちを結婚させようとしており、他のプロダクションでは複雑なキャラになることもあるヒポリタはイマイチ存在感が薄くなっていると思った。