こういう映画の意義はわかるが、どうも撮り方などが…『サントメール ある被告』

 アリス・ディオップ監督『サントメール ある被告』を見てきた。

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 サントメールが舞台で、女性作家であるラマ(カイジ・カガメ)が赤ん坊を殺害した容疑をかけられているロランス(ガスラジー・マランダ)の裁判を傍聴するという枠に入っている。実際の裁判記録をほとんどそのまま映画にしているということで、わりと淡々と裁判が進む中、ロランスの孤独が少しずつ浮かび上がってくる。裁判の結末までは描かれていない。

 ロランスのみならず複数の女性の声を響かせることで、フランスで非白人女性として生き、母親になることの厳しさを描いた作品である。こういう映画を作る意義は非常によくわかるのだが、私は全く個人的な好みとしてとても撮り方が苦手…というか、これなら芝居にしたほうがいいのではと思ってしまった。ほとんど動かずにロランスの証言を撮っていてあまり動きがないのだが、たまにとってつけたようなサントメールの町の景色とかが入っていて、なんというかあんまり映画らしくはない。完全に趣味の問題なのだが、こういう「舞台にしたほうがいいのでは?」と思ってしまうような映画はあまり得意ではない。