笑いにくい笑劇~『ゴメラの逆襲 大阪万博危機一髪』

 笑の内閣『ゴメラの逆襲 大阪万博危機一髪』を招待で見てきた。

 大阪万博を扱った諷刺的な笑劇である。なにわテレビなる大阪のテレビ局を舞台に、大阪のおそらく維新と思われる政治家たちがあまりにも無能でさらにメディアがそれに迎合するためさっぱり防災が機能せず、そのため大阪(とくに万博会場)が怪獣に襲われ続け、そのたびに髭だるマンなる謎の巨大ヒーローが戦いにやってくる…というような話である(だいぶ端折っているが、まあ大変ざっくり言うとこういう話である)。なお、途中で特撮番組っぽい映像も使用されるのだが、序盤でプロジェクタの投影がちょっと暗くて映像がモヤっとしており(プロジェクタの不調?)、大丈夫かな…と思ったものの、終盤は投影のクオリティが若干改善していたと思う。

 辛辣な諷刺もので笑うところはたくさんあり、面白い芝居なのだが、東京で見るとなかなか笑えないところもある…というか、大阪公演で大阪の人がこれを見るなら自虐ネタで笑えるのだろうと思うのだが、東京でこれを見て笑うと大阪の人に対してなんだが心ないことをしているような居心地悪い感じになるし、むしろ大丈夫ですか…みたいな感じでちょっと大阪が心配になってきてしまう(ただし昨日のレビューでも書いたように、東京も全く大阪のこと言えない状況ではあるが)。大阪にあんまり関係ないネタとしては反出生主義者の宇宙人なども出てきており、これは高齢化社会の諷刺だと思うのだがなかなか他のネタに比べてわかりにくいように思った。なお、ヒーローとして映像としてのみ登場する髭だるマンは以前笑の内閣の代表だったが今は演劇をお休み中で、この公演は髭だるマンに劇団に復帰して欲しい気持ちがこめられているそうである。劇団員の温かい気持ちはひしひしと伝わってきたのだが、一方で髭だるマンさんはお疲れなのかもしれないのでちょっとプレッシャーなのでは…とも思った。