距離感と親愛~『ジェーンとシャルロット』

 『ジェーンとシャルロット』を見てきた。シャルロット・ゲンズブールが母のジェーン・バーキンを撮ったドキュメンタリーである。

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 全体的にホームムービーみたいな感じなのだが、ジェーンとシャルロットが距離感がありつつ敬愛もあるみたいな微妙な関係で、そうした中できちんと向き合って互いに対する理解を深めようとする様子を描いた親密感のある作品である。シャルロットは母親の前ではなんとなくちゃんといろいろ話せない感じだったらしいし、ジェーンも娘に対してた小さい頃からあまりにも特別な存在感がありすぎて気後れを感じていたらしい。さすがに娘の前なのであんまりはっきりは言っていないのだが、まあたぶんシャルロットは小さい頃からあまりにも才気あふれる美少女だった上、早くから自分の世界を持っていてあまり親に自分の暮らしのことを細かく話さなかったらしいので、ジェーンも心配になって傍目から見るとかなり不気味な行動をとったりしていたらしい(途中でけっこう引くレベルの不気味行動の話がある)。シャルロットはこの不気味行動自体はあんまり気にしていないらしいのだが、まあなんとなく母との間に距離がありつつ、とはいえ愛し合っていないわけではないので、近づきがたい敬意となかなか近づけない愛情が半ばするけっこうへんてこりんな母娘関係が形成されている。しかしながら母娘関係というのもいろいろで、こんな変な母娘でも幸せなら全然いいじゃないか…と思える内容になっていると思う。母娘関係というのはステレオタイプに描かれがちだと思うので、とても風変わりな2人が風変わりなりに敬愛しあい、互いを思いやっている関係がちゃんと映像化されたのはとても良いことだと思う。