ワム!の来歴がよくわかるドキュメンタリー~『ワム!』(配信)

 Netflixで『ワム!』を見た。タイトルからわかるようにワム!ドキュメンタリー映画である。

 ワム!ジョージ・マイケルがメインでアンドルーがオマケみたいに扱われることもあるが、このドキュメンタリーを見てわかるのは、ワム!のカラーはけっこうアンドルーの明るくて享楽的な性格に影響されており、アンドルーの果たした役割が大きいということだ。メンバーは2人とも移民の息子で、貧しくはないがロンドンのごく庶民的な家庭で育っており、両方ともそれぞれの方向性で楽しいことをしたいと思ってバンドをやっていたということだ。アンドルーはワム!のバンドとしての楽しく陽気なイメージ作りに尽力し、私生活でも美女と付き合ってポップスターらしく暮らしていた。一方、ソングライターであるジョージは内向的・内省的な上にものすごく働き者…というか、音楽的野心が強くて、成功したい、とにかくすごい音楽を作って人から評価されたいという気持ちが常にある一方、クローゼットなゲイだったので悩みもたくさん抱えていた。それがだんだん合致しなくなって4年ほどでワム!はなくなってしまうのだが、その過程をしっかりとらえた音楽ドキュメンタリーである。最後にジョージがソロで1億2千万枚も売り上げたという話に、字幕でアンドルーは全く驚かなかったし誰よりも嬉しかったと書いてあるのはなかなかユーモアもあるし、心温まる終わり方だ。