難しい人、ゴダール~『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家』(試写)

 『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家』を試写で見た。

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 出演した俳優など、関係者のインタビューを交えつつ、ゴダールの業績を年代順に丁寧に解説してくれるものである。前衛的であまり見ている人が多くないと思われる60年代末から70年代までのこともきちんと追ってくれている。アンリ・ラングロワ事件の話などはいろいろな証言が出てきていて、当時の状況に関する話としてもけっこう面白い。

 一方で思ったのは、ゴダールは大変、難しそうな人だということだ。やはり先日見たばかりの『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』で浮かび上がってくるタランティーノは、オタクで変人で妙なこだわりはありそうであるものの、そんなに気難しいタイプではなかった…のだが、こちらのドキュメンタリーから浮かび上がってくるゴダールはかなり一緒に仕事をするのが難しそうな人である。俳優に対して、計画していた内容をやめていきなりてんで違う内容を提案してきたりするらしいし、政治的にもこだわりがあるので現場ではきついこともあっただろう。この「ゴダールって気難しそうな人だな」というのは以前『顔たち、ところどころ』を見た時も思ったのだが、たぶん本当にそうだったのではないかと思う。