ちょっと台詞を扱いかねてるような…『曲者 -The Quare Fellow-』

 演劇企画CaLによるブレンダン・ビーハンの戯曲『曲者 -The Quare Fellow-』の上演を見てきた。上演台本は梅野あき子、演出は村岡正喜によるものである。1954年初演の作品で、台本を読んだことはあったのだが舞台では初めて見た。

 舞台は刑務所である。タイトルロールの「曲者」は舞台上には出てこないのだが、兄弟殺しで翌日死刑になるということで、刑務所はこの男の噂で持ちきりだ。ビーハンはIRA関連の活動で収監されていたことがあり、その経験が反映された芝居である。

 全体的にけっこう台詞を扱いかねているような印象を受けた。わりと台詞が多くて騒々しい感じの芝居なのだが、ちょっと滑舌が悪く聞こえたり、妙に早口だったりするようなところがあり、とくに序盤はもうちょっと笑えるはずなのになんだかノリが良くないように思った。また、そもそも翻訳がこなれていないのかもしれない…という気もした。英語で読んだ時は、まあ簡単な作品ではないにせよもうちょっとスッと入れた気がするのだが、この上演はそれに比べると雰囲気とか状況に入れるまで少し時間がかかった気がする。