そこはコーヒーを飲もうよ…『イコライザー THE FINAL』(試写、ネタバレあり)

 『イコライザー THE FINAL』を試写で見てきた。

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 舞台はイタリアである。マッコール(デンゼル・ワシントン)はシチリアで活動していた際に負傷してしまい、アマルフィ海岸にある小さな町で療養することになる。引退してこの町で暮らそうかと思い始めたマッコールだが、この町の開発をもくろむ犯罪組織が町民を虐待していることを無視できなくなる。一方でマッコールはシチリアでのミッションで発見した手がかりを匿名でアメリカ政府に提供し、コンタクトの窓口となったエマ(ダコタ・ファニング)がイタリアに派遣される。

 マッコールがボストンを出てイタリアの小さな町で暮らしているということで、前の作品のようにマッコールが人知れずいろいろな犯罪の犠牲者を助けたり、人生が悪いほうに転びそうな人の転落を防いだりしながら次々と暴力行為を…というような匿名性はなくなっている(たぶん町の人はみんなマッコールが動いていたことに気付いている)。どちらかというと後輩のエマにアドバイスを…というような展開になっていて、雰囲気はわりと違う。それ以外はわりとアクションもパワーアップしているし、景色の綺麗さにあわせて残虐描写も含めてイタリア絵画っぽい撮り方にチャレンジしているところもあり、面白い映画ではある。また、シチリアでのかなり体力を消耗するミッションの後、ふとした油断でケガして療養しないといけなくなるあたりのマッコールはだいぶ疲れていておじいさんみたいに落ち込んでいるのだが、だんだん回復してまた他人を助けたいお節介の虫が頭をもたげてくるあたりではどんどん若々しく元気になっていて、これはさすがにデンゼルの演技力である。

 ただ、イタリアに行ってもマッコールが紅茶を飲んでいるのは、いくらなんでもちょとは地元の風習を取り入れようよ!…と思った(映画じたいの出来にはほぼ関係のないことだが)。事前にマッコールがイタリアでも紅茶派で地元民に怒られたりするんじゃないかと思っていたところ、案の定、バールで紅茶を頼んで文句を言われたりしている。しかしながらだんだん町に馴染んでウェイトレスのアミーナ(ガイア・スコデラーロ)と仲良くなり、「紅茶の人」みたいな感じになっていく。このアミーナとの交流については、わざわざ地元の食べ物を紹介するというくだりがあって、そこについてはカフェで働いている女性なんだからこだわりのエスプレッソを飲ませてマッコールが感心するみたいな展開のほうが、心機一転して引退生活をしたいというマッコールの心境の変化にふさわしいのに…とか(イタリアで飲むなら絶対コーヒーのほうが美味いのでは?)、若い女性は既にエマが出てくるんだからここでマッコールの庇護を受けるお友達みたいになるのはギャングに誘われてる若い地元の男性ウェイターとかにしたほうが話が盛り上がって良いのじゃないか…とか、いろいろ思った。