70年代の雰囲気をとらえたコンサート映画~『キャロル・キング ホーム・アゲイン ライブ・イン・セントラルパーク』

 『キャロル・キング ホーム・アゲイン ライブ・イン・セントラルパーク』を見た。キャロル・キングが1973年5月26日にセントラルパークで行ったライヴのコンサート映画である。

www.youtube.com

 キャロル・キングはもともと作曲家なのであまりライヴをやらなかったのだが、『つづれおり』が大ヒットした後、『ファンタジー』を作った時にバンドとの仕事が極めてうまくいったので、その延長でじゃあ初めてツアーを…ということになり、最後はキングの故郷に近いセントラルパークでフリーコンサートをということになったそうだ。テレビ用に撮影されたのだがしばらく見られなかった映像だそうで、たしかにたまに撮り方があまりコンサート映画らしくないちょっと変な感じになっていたりするところもある。

 何しろキングは派手なロックスターではない…というか、既に50年代末から実績のある作曲家なので、華やかなショーっぽいライヴではなく、じっくり聴かせるライヴをする。前半はピアノ弾き語り、後半はバンドが出てきて最後は「きみの友だち」で終わるのだが、お客さんも大きな声で一緒に歌ったりするのではなく、くつろいで楽しんでいる感じである。白人が多いが多少は非白人のお客さんもおり、キングが近所の地名を言ってそこから来た人は声を出してください…などと言って客席が反応するところもあり、地元の人たちが同じ地元出身のミュージシャンの凱旋を見に来ているという雰囲気だ。ただ観客はいかにも70年代らしい感じで、途中で足場に登ってしまってコンサートが一次中断するトラブルもある。