今見てもさらにつらい~『ゴーストワールド』

 『ゴーストワールド』再上映を見た。言わずと知れた2001年の有名作である。高校を出たばかりのイーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカスカーレット・ヨハンソン)のオフビートな日常と人生の岐路を描く作品だ。

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 私はヒロインのイーニドと同じくらいの年の時にこの映画を見たのだが、今シーモアスティーヴ・ブシェミ)と同じくらいの年になってこの映画を見るとさらにキツい…というか、イーニドの人生よりもはるかにシーモアの人生のほうがまずいことになっている気がする(そこでイーニドに手を出してはいかんだろ…いやまあそうなってしまうのは状況的にわからなくはないが…)。さらにジョシュ役のブラッド・レンフロは、私の世代ではアイドルだったのだがなんせもう亡くなっている。まあ見るからにつらい作品である。ただ、初めて見た時、私はそんなにイーニドの人生が暗いとは思わなかったし、ラストもそんなにダークな解釈はしなかったのだが、それについては今見てもそんなに変わらなかった。バスで行く先にはたぶん前とは違うものがあるはずだし、この映画においては違うというのはそれだけで良いことなのだと思う。

 絵の件についてはあれはマジで美術教師のロベルタ(イリアナ・ダグラス)がダメなやつだと思うので、今の視点で見るとちょっと教員視点で授業運営がまずすぎてビックリした。とりあえずロベルタ自身にあんまり才能がなさそうに見えるのと、また技術を用いるよりもなんか政治的コンセプトらしいものを表現するやり方ばかり評価していて、バランスがとれていない(なんかロベルタが評価する作品はどっちかというとターニップ賞っぽいと思う)。そして評価基準が偏っているわりには「ここをこうすればもっと良くなるんじゃないか」みたいな具体的な指導もあまりしないので、生徒が結局教員の機嫌をとるようなものを作るようになる。また、イーニドの「作品」がそのまま展示したらまずそうなものだということをちゃんと理解していないことや、スキャンダルが起きた時にちゃんと責任をとらないのも悪い。