ちょっと強引な気もするが、キャスト陣はよかった~『ブルックリンでオペラを』(試写)

 『ブルックリンでオペラを』を試写で見てきた。

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 ブルックリンに住むオペラ作曲家のスティーヴン(ピーター・ディンクレイジ)と潔癖症精神科医であるパトリシア(アン・ハサウェイ)のカップルが主人公である。スティーヴンは長期にわたるスランプで全然新作が書けていないのだが、パトリシアに犬の散歩に行かされた時に出会った船長カトリーナマリサ・トメイ)からヒントを得て、女性のシリアルキラーが出てくるオペラを書いて大評判になる。ところがこれをカトリーナが見てしまう。

 一方、パトリシアの連れ子ジュリアン(エヴァン・エリソン)はテレザ(ハーロウ・ジェイン)と付き合っていたが、それがテレザの人種差別的な継父トレイ(ブライアン・ダーシー・ジェイムズ)にバレてしまう。トレイはミックストレイスのジュリアンを嫌い、ジュリアンは18歳でテレザは未成年なので淫行で訴えると言い始める。スティーヴンはカトリーナの協力を得て、16歳でも結婚できるニュージャージーで2人を結婚させることでジュリアン訴追を免れることを提案する。

 双方えらくぎくしゃくした出会い方で、途中の経過からしてあんまりうまくいくとは思えないジュリアンとカトリーナが仲良くなってしまうところなどは脚本がちょっと強引で、役者陣の好感度でごまかしているような気もする…のだが、ロマコメとしては少し変化球で楽しい作品である。中年のロマンスものかと思いきや、終盤は『ロミオとジュリエット』みたいな話になり、好き合っているのに人種差別的な継父のせいで引き裂かれて裁判沙汰まで起こりそうになっている若くて可愛らしいカップルを他の親たちで助けようという内容になるのはちょっと面白い。ジュリアンはリッチな専門職の親の息子なのだがミックストレイスで、テレザは母親がジュリアンの家の家政婦、継父のトレイは裁判所書記官で、ジュリアンの親ほどリッチではないのだが白人だけの家庭である。このため保守的なトレイが怒ってジュリアンを訴えようとするという展開で、階級と人種に関してけっこうひねりがある。トレイは序盤で母親による子どもの連れ去りについて冷たい発言をしており、アメリカでも子どもの連れ去りやら共同親権やらについてあまり事情を勘案せずに父親寄りのコメントをする人はなんだか感じが悪い保守派というイメージなんだな…と思った。