スザーナ・アマラウ監督『星の時』を試写で見た。クラリッセ・リスペクトル作の有名な小説の映画化で、40年前の映画を4Kで日本初公開するそうだ。
田舎から出てきてサンパウロで働くことになった若い女性マカベーア(マルセリア・カルタッショ)の暮らしを描いた作品である。原作小説はけっこう凝っているというか、ナラティブが全然ふつうではなく、この映画はこの変わったナラティブを全部取っ払って、若い女性の暮らしをけっこうリアルかつ丁寧に描くというような方向性に振り切っている。こういう小説特有の複雑なナラティブの工夫を映画版が取っ払ってしまうというのは『82年生まれ、キム・ジヨン』とか『哀れなるものたち』でもあり、女性が主人公の小説でそういうことが起こりがちなのはなぜかな…とか、やはり映画は文字で行う複雑なナラティブ上のトリックの面白さを再現するには向いていないメディアなんだな…とか思ってしまうのだが、この2作に比べると『星の時』はわりと細やかにまとまっていて、演技もいいし、古くなっていない…というか、現代日本にあてはめてリメイクしてもすぐちゃんとした映画になりそうなくらいは話がしっかりしていて、素直にけっこうよくできた女性映画だと思った。


