『ハイスクール・ミュージカル』と『ワンダーラスト』

 やっとグラフ入りレポートが書けたので、今日は昼から『ベンジャミン・バトン』を見に行こうと思ったら、なんと京王線が事故って間に合わなかったので、仕方なく銀行で払い込みをすませてから『チェンジリング』をやってる劇場に行ったらなんと今度は売り切れで、仕方なく夜見る予定にしてた『ハイスクール・ミュージカル:ザ・ムービー』を見に行った。本当は私はアンチディズニーなのでディズニーに金が入るようなことはできればしたくないのだが、『ハイスクール・ミュージカル』はちょっと見ないとなと思ったので…


 …で、内容なのだが、続編映画にしては正しい金の使い方をしていて結構面白いと思った。『ハイスクール・ミュージカル』は、1→2(ここまではテレビ映画)→3(劇場公開映画)と予算がどんどん増えているのが明らかにわかるシリーズなのだが、1はわりとオーソドックスなポップスやいかにもなミュージカルナンバーばっかりで私はイマイチだったけど、2以降ちょっとロックっぽい曲を入れたりして踊りが映える曲が増えた気がするので、たぶん楽曲には金をかけてるんだと思う。あとセットにも金をかけていて、歌い始めると妄想で風景が一変するとか、踊りにあわせてセットが回って入れ替わるとかいかにもなミュージカル風セットを組んでて、なんか30年代とか40年代くらいのミュージカルみたいだった。振り付けもかなり凝ってて、とくにバスケがちゃんとダンスになる振り付けとかは面白いし、トロイが混乱して壁を昇ったり天井で踊ったりする場面はケリーやアステアを意識しているに違いない。"The Boys Are Back"で、トロイとチャドが踊りながら車の下を通り抜けると二人が子供に戻っている(子役がそっくり。しかも結構踊り上手い)というカットなんかも良かったと思う。


"The Boys Are Back"


 ただ、ストーリーがちょっと…あのライアンがケルシーに流し目を送るショットはほんとどうなんだろうと思った。1でライアンが帽子を投げる場面を見た瞬間「ああライアンはゲイなのか、ミュージカルとしてはありがちなキャラ設定だな」と思って、2でライアンとガブリエラが仲良くしているのにトロイがそんなに妬かない場面を見て「カミングアウトしてないけどみんなにバレてるんだな」と思ったのだが、3でいきなりシャーペイのさしがねでケルシーをプロムに誘ったりウィンクしたりして、そこまでしてでもディズニーは映画にゲイのキャラクターを出したくないのかと思ってあきれてしまった(いやひょっとしたらライアンはバイセクシュアルで、実は隠れ魔性なのかもしれないが)。ミュージカルのファンベースって大部分は男女の同性愛者だったりするのだが(あとは若い女性とお年寄り)、アメリカのゲイピープルはいったいこの不自然なストーリー展開に対してどう思ってるんだろう。


 あと、実は私はトロイ役のザック・エフロンよりもドレッドヘアがチャームポイントのチャド役のコービン・ブルーのほうが好きだったりしたのだが、今回見てライアン役のルーカス・グラビールのほうがミュージカルには映えるなと思った。なぜかというと、コービン・ブルーはそもそも身体能力は結構高いみたいですごい鍛えてそうなのだが、パート2の時に比べて大柄になってる感じで、胸板とかが厚すぎて動きに軽やかさがない感じがするのである。"The Boys Are Back"みたいにストリート系のダンスでは全然目立たないんだけど、ちょっと社交ダンスっぽい踊りとかをするとイマイチ優雅さに欠ける気がした。それに比べてルーカス・グラビールはやせてて一見身体能力は高くなさそうなんだけど、筋肉がつきすぎてない分動きに軽快さがあって、踊ると見栄えがする。ミュージカル映画のスターは筋肉がつきすぎてたり背が高すぎたりするとダメなんだなーと思った。

 全体としては、ストーリーに不自然さはあるけどミュージカルとしては楽しいかなっていう感じだった。とくに女優陣があまりやせてないのがいい。bitchのシャーペイ以外はみんなモデル体型とはほど遠い感じで(健康そうなぽっちゃり系が多い)、『ヘアスプレー』なんかでもそうだったけど、どうも最近はヤセはbitchでぽっちゃり系が心のきれいなヒロインということになるらしい。



 夜は『ワンダーラスト』を見た。マドンナの初監督作ということで、どれほどひどいかと思ったら全然普通のミニシアター映画で拍子抜けしてしまった…音楽はいいし、ストーリーもまあどうってことないけど及第点な気がしたので、別に良かったんじゃないかな…でもどっちかというと映画作るよりは新しいアルバムをどんどん出して欲しい。