カンタベリ一日観光+中世劇鑑賞

 昨日は夕方からカンタベリの教会で中世劇の上演があるということで、朝からカンタベリ観光。


 まず大聖堂へ。



 …なんか、期待しすぎたせいもあるのかもしれないけど、ソールズベリやウィンチェスターに比べてカンタベリ大聖堂はあまりいいと思わなかった。とりあえず身廊(入り口から聖歌隊席までの距離)がかなり短くて、しかもそこに椅子がたくさん置いてあるのでちょっとごちゃごちゃした感じになっている。ソールズベリだと入り口から聖歌隊席までがわりとゆったりしていて、そこを歩いてどんどん「神の側に近づく」感を高めるような設計になっていたと思うのだが、カンタベリは英国国教会の総本山ということで稼働効率が優先なのか、ちょっと実用的すぎる感じが…

 あと、設計以外に気になったこととしては、とにかく人が多すぎたことと、お天気が良すぎて大聖堂の中が明るすぎたのも私があまり惹かれなかった理由かも…これは大聖堂自体の問題じゃないのだが、かなり混んでて、上にのせた写真はなるべく人が少ない時をねらって撮ったもの。



 外から見た大聖堂。 


 回廊。


 回廊の落書き。あやしい!


 チャプターハウス。ここは素敵な建物だったけど、やっぱり人多かった。



 オープンガーデンは別料金。



 どの庭もすごく良かったのだが、広い上暑いのが難点。帽子をかぶって来なかったのだが、完全に6月の陽気をナメてたな…


 暑い中ひっそりと立つ銅像
 
 

 
 さて、大聖堂を出て次はカンタベリテイルズという『カンタベリ物語』の展示へ。

 カンタベリテイルズ前の楽隊。


 全体としては、蝋人形を使ってチョーサーの『カンタベリ物語』のダイジェストを解説するというテーマパークっぽい展示なのだが、チョーサーをまったく知らない子供とかをターゲットにしているようだ(子供向けのわりには艶笑落語みたいな話ばっかりなのがまた面白いんだけど)。カンタベリ物語を読んだことのある人には少々物足りないかも。 



 カンタベリ博物館。

 ここ、建物が中世の病院か何かで、とても趣がある。


 …何かがちょっとおかしい日本語のパネル。


 ジョゼフ・コンラッドの展示。

 カンタベリに住んでいたらしい。知らなかった!


 「くまのルパート」展示。

 地元出身の有名キャラクターらしい。知らなかった…

 

 その後、ちょっと街から外れたカンタベリのアウグスティヌス修道院跡へ。

 カンタベリのアウグスティヌスは『告白』のアウグスティヌスとは全然別の人で、7世紀頃に布教のためイギリスにやってきた初代カンタベリ大司教らしい。


 修道院廃墟からはえてきた花。

 昔の光今いずこという感じ。


 その後、Yoshiさんに教えていただいたセントマーティンズ教会へ。

 ここはキリスト教徒だったフランク王の娘バーサがケントの王エゼルベルトと結婚した時に自分用のチャペルとして建ててもらったものだそうで、6世紀くらいに建てられたイギリス最古の礼拝堂らしい。

 見てわかるように、この教会はとても幅が細くてつつましやかに建っている。てのひらにのっちゃいそうなくらいちっちゃな教会である。

 オリジナルの部分は内陣のところだけらしいのだが、素朴な作りなのに何とも言えない品がある。 


 煉瓦が二層になって古い壁がのぞいているあたりが歴史を感じさせる。ローマ時代の煉瓦がたくさん使われているとか。

 カンタベリ大聖堂よりもこっちのほうが私はずっと惹かれたのだが…なんというかキリスト教がまだブリテンの主要宗教でなかった頃にできた私用の礼拝堂ということで、後世に無理な増築とかをした気配もないし、権力をアピールするのではなく王女様が自分だけのために作ったという感じがよく残っているのがいい。6世紀頃の人と実際に会ったような気分になれる。案内人のおじいさんもすごく親切だったし…週二回くらいしかあいてないらしいのだが、もしカンタベリに行かれる方は是非調べていってみることをおすすめする。


 
 その後街に戻ってカンタベリローマン博物館へ。

 ここは昔ローマ人が住んでいた地下の層でローマにかかわる発掘物などを展示するという博物館なのだが、残念なことに大規模改修中で展示品がとても少なくなっていた。 


 さて、暑さのせいで相当に疲れてきたので、ガイドブックにのっていたオールドウィーヴァーズハウスというレストランでクリームティーを。

 かなりしっかりしたスコーンで、お腹いっぱい…ジャムは食べきれなかった。


 お店の中。


 お店の隣に流れている川。観光用の川船もある。


 お茶をのんで一休みした後、ウェストゲイトを通ってセントダンスタンズ教会へ。

 ウェストゲイト。


 セントダンスタンズ教会。

 ここも非常に由緒ある教会で、奥深くにトマス・モアの頭蓋骨が眠っているとか!

 それでここで中世劇『アブラハムとイサク』を見た。昼暑い中歩いたせいで思ったよりずいぶん疲れてて居眠りしちゃうんじゃと心配になったのだが、ちゃんと起きて見た。

 ケント大学の先生や地元の郷土史家などによる上演だったのだが、まあ頑張ったなって感じかな…アブラハム役のマーク・ベイトソン先生はすごく感情をこめて熱演していたのだが、私はもうちょっと朗々とした台詞の読み方でもいいんじゃないかと思った(これは好みだと思うけど)。あと、イサク役がかなり小さい子で、台詞が早すぎたのがちょっと…以前見たエドワード少年劇団(パブリックスクールの演劇部)がびっくりするほど上手だったので点が辛くなっているのかもしれないが、イギリスは演劇の国で中学生くらいでも大変芝居のできる子が結構いるので、もうちょっと年が上で演劇部とかに入っているような子供を頼んでもいいんじゃないかと思った。

 とはいえ、こういう中世劇が安く見られるのはやっぱりイギリスならではなので、どんどんやってほしいなぁと思う。学生5ポンドだったので、そんなに高くないし。


 その後、Yoshiさんに教えてもらってトマス・モアの娘マーガレットとその夫ウィリアム・ローパーのおうちの跡を見てきた。



 マーガレットの家を見たあと、一路ロンドンへ。楽しく遊んで勉強にもなったし、すごく充実した一日だった。暑すぎたのがちょっと難点だったけど…もう出かける時は帽子が必須だし、水分補給ももっと頻繁にやったほうがいいなぁ。