レスター(1)リチャード三世ビジターセンターとレスター大聖堂

 夜にヒースローに到着し、翌朝早くにレスターに移動。まずはレスターに来た目的であるリチャード三世ビジターセンターへ。2012年にここにあった駐車場からリチャード三世の遺体と思しき人骨が発見されたことを記念して作られた博物館である。


最初のコーナーはリチャード三世の人生についての展示で、暗くてあまり写真などは撮れなかったのだが、世間的に悪いイメージが強いリチャードの業績を再評価しようというものである。裁判の公正化や腐敗の取締など、王としての仕事ぶりにはかなり見るべきものがあったという内容だった。
 次のコーナーはリチャード三世のイメージについて。シェイクスピアの戯曲のせいですっかり悪いイメージが流布したが、同時代の人たちの証言では必ずしもそうではなかったという話がまとめられている。身体障害が安易に内面的な悪と結びつけられてしまう差別的傾向に対する批判や、リチャードの軽い障害(日常生活にはほとんど影響はなかっただろうということだ)をことさら重く醜く言い立てるプロパガンダの指摘などがあり、けっこう面白い。タッチパネルでいろいろなリチャードのイメージに関する資料を観ることもできる。


 次のコーナーはリチャードの遺体についての考古学的な説明。発掘の経緯はもちろん、骨の分析から顔の再現、DNA鑑定までいろいろな手法を用いて遺体を分析し、誰のものなのか特定したということを説明している。

 こちらが発掘現場。


 リチャード三世の銅像

 
 リチャード三世の遺体は調査がすんだ後、お隣のレスター大聖堂に再埋葬された。埋葬式にはベネディクト・カンバーバッチも出席している。


 入ってすぐ、キャロル・アン・ダフィがリチャード三世埋葬のために書いた詩が。

 内陣。


 リチャードの棺。

 リチャードの白猪のご紋があしらってある。

 リチャードの冠のレプリカらしい。

 大聖堂の至る所にこういうパネルがあり、リチャードの生涯について解説している。これは国民の生活向上に尽力したリチャードの業績を説明しつつ、イギリス議会の祖であるレスター伯シモン・ド・モンフォールと並べてレスターと人権擁護という観点からリチャードの仕事を見ていくもの。ちょっと強引だが、教会は人権擁護についていろいろな協力をしていますというアピール文も入っている。

 このパネルはちょっと経路が違い、レスターハヤブサについて。

 リチャード三世ビジターセンターもレスター大聖堂もすっかりリチャード推しで、展示もわりと面白く、かなり満足した。