17世紀の劇場のキャパシティについてちょっと気になったことがあり、比較対象として現在の世界各地の主な劇場のキャパシティを調べてみた。でかい劇場はふたつ以上のホールを持っていることが多いので、あくまでもキャパシティはメインホールの収容人数。ソースはだいたい公式サイトとウィキペディアだが、英語以外のものについてはファンサイトなども参照した。ただし演目によってかなり収容人数は変わると思われるのと、四捨五入した数字を出している劇場と一の位まで書いてある劇場があってわかりにくいので基本十の位以下は四捨五入した。オペラ・バレエ・ストレートプレイが上演できる劇場に限り、スポーツとか音楽コンサートしか使用実績がないものは外した(スポーツやライブができるスタジアムだと公称40万人近く収容できるところもある)。一応稼働している劇場のみをあげたが、ギリシャ劇とイギリス・ルネサンスの劇場のキャパシティを参考までに入れた。
・エフェソスの古代劇場遺跡…50000人〜55000人程度(推計)
ギリシャ悲劇の劇場はバカでかく、他の遺跡の推計でもだいたい16000人〜40000人くらい入れる。
・O2アリーナ(ロンドン)…20000人
マンチェスター・イヴニング・ニューズ・アリーナは21000人収容でこれよりデカいが、オペラやバレエなどを上演したことがあるかは不明。
・ハリウッドボウル(ハリウッド)…18000人、野外音楽堂
・ヴェローナのアレーナ劇場…16000人(現在も稼働中の古代ローマ闘技場)
・日本武道館(東京)…14470人
オペラとかやったことはないと思うのだが、落語が上演されたことがあるそうだ。
・ウェンブリーアリーナ(ロンドン)…12300人
オペラやバレエはわからないが、コメディショーやアイスショーができる。
・MUNY(セントルイス)…11000人、野外音楽堂
・ラジオ・シティ・ミュージック・ホール(ニューヨーク)…6000人
・東京国際フォーラムホールA(東京)…5010人
・メトロポリタンオペラハウス(ニューヨーク)…3800人
・17世紀のグローブ座やスワン座(ロンドン)…3000人前後(あくまでも入れる人数の限界なので多めの推定)
・カーネギーホール(ニューヨーク)…2800人
・オペラ・バスティーユ(パリ)…2720人
・宝塚大劇場(宝塚)…2530人
・ロンドンコロシアム(ロンドン)…2360人
・ロンドンパラディアム(ロンドン)…2290人
・ウィーン国立歌劇場(ウィーン)…2280人
・ロイヤルオペラハウス(ロンドン)…2260人
・スカラ座(ミラノ)…2200人
・バイエルン国立歌劇場(ミュンヘン)…2100人
・ボリショイ劇場(モスクワ)…キリル文字に阻まれて正確な数字が把握できなかったがたぶん2000人ちょっと
・ガルニエ宮(パリ)…1980人
・ベルリンドイツオペラ(ベルリン)…1950人
・ガーシュウィン座(ニューヨーク)…1930人
ここがブロードウェイの室内商業劇場では一番デカいらしい。
・グランドシアター(ワルシャワ)…1840人
・上海グランドオペラ(上海)…1800人
・現在のグローブ座(ロンドン)…1600人前後
・ドイツ国立歌劇場(ベルリン)…1400人
・ロンドンナショナルシアターオリヴィエホール(ロンドン)…1160人
・17世紀のブラックフライアーズ座(ロンドン)…よくわかっていないが、600〜1000人程度
・アビーシアター(ダブリン)…600人
・ピッコロ座(ハンブルグ)…30人
・シアター・オヴ・スモール・コンヴィニエンス(マルヴァーン、ウースターシャ)…12人
なお、参考までにあげておくと、東京ドームは公称55000人だそうだが、オペラやバレエ、歌舞伎などを上演したことはないと思う。
とりあえず古代ギリシャの劇場はバカでかいしマイクもスクリーンも使わずマスクかぶってやってた(声をうまくつかわないと音がマスクで遮られる)ことを考えると驚きだが、エリザベス朝の劇場も1000人〜3000人レベルのハコがひしめきあって客を奪いあっていたと考えるとなかなか厳しい世界である。
あと、ストレートプレイを上演する劇場はやっぱりオペラハウスのデカさにはかなわないね(ギリシャ悲劇や宝塚も歌劇の一種だと思うし)。