初めて舞台でプリマがこけたのを見て結構ショックだった〜O2、バーミンガム・ロイヤル・バレエ版『くるみ割り人形』

 O2でバーミンガム・ロイヤル・バレエ版の『くるみ割り人形』を見てきた。

 前回O2で見た『ロミオとジュリエット』の時と違って平戸間の席をとったのだが、近いのに全然見えなくてほとんどスクリーン頼り。しかも前に座ったおばちゃんがふかふか帽子を公演中も脱がないという剛の者で、全く信じられないよ。

 なんか最初にジョー・マケルダリーという人が出て来て三曲くらい歌を歌ったのだが、私は全然好きになれない感じの声だったのでぼーっとスクリーンに映った鼻の穴を見ていた。なんか見覚えがあるなと思って帰ってから調べてみたら、この人2009年にレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの"Killing In the Name"に一位を阻止されたXファクターの優勝者か…実は私はフェイスブックでこの"Killing In the Name"キャンペーンを支持してた。

 で、前座の歌のあとでバレエの上演開始。先週見たイングリッシュナショナルバレエ版に比べるとセットとかはかなり伝統的な感じの演出だが、クララが結構大人で色っぽく、パーティで会った男の子と思春期の恋をしているらしいのが特徴かな。ドロッセルマイヤーが結構若かったのだが、マジックはイングリッシュナショナルバレエ版より大がかりで「お前フォース使ってんのか」みたいな…

 クリスマスツリーが大きくなるところの演出は非常にダイナミックでよかった。ねずみ軍団とおもちゃの兵隊が戦うところで、クララが縮んでねずみと同じくらいの大きさになってしまうのだが、舞台ではここはツリーが大きくなることで表現される。で、このバーミンガム・ロイヤル・バレエ版ではただツリーがでかくなるだけじゃなく、ツリーが大きくなる→元々の応接室のセットがひっこむ→もともとツリーがあった場所の前面に、ツリーの下端と思われる巨大化した葉っぱとローソクが降りてきて、クララがツリーの下端にも届かないくらい小さくなったことが表現される、というふうになっていてなかなか気が利いていた。ただ、マウスファイト場面はスモークを焚きすぎでちょっと踊りが見えづらくなっていたように思う。


 後半だが、コーヒーの踊りは女性ダンサー一人、男性ダンサー三人がアクロバティックなダンスをするというもので、イングリッシュナショナルバレエ版に比べるとヘンなオリエンタリズムが少なく(まあオリエンタルではあるのだが許容範囲)、踊りも軽やかで可愛くて良かった。ただ、お茶(中国の踊り)とトレパック(ロシアの踊り)のほうは逆にエキゾチックすぎてあまりよくなかったかな…


 で、くるみ割りではだいたいプリマが金平糖の精を踊るのだが、なんとこの金平糖のプリマが最後の最後に舞台で転倒した。パ・ド・トゥ(男女で踊る四部構成くらいになってる踊り)の時からポーズとめて決めるとことかがちょっと怪しくて調子悪いのかなと思っていたのだが、終曲で総花的に全ダンサーが出て来て踊るところで金平糖がすべってこけて尻餅をついてしまった。O2はご家族向けのハコでうち同様あまりバレエ慣れしていないお客が多いため、こけてしまったところでは観客一同びびってしまい、「ハッ」と息をのむ音が聞こえた(うちも息をのんだ)。初めてバレエでプリマが舞台でこけるところを見て結構ショックだった。


 と、いうわけで、バーミンガム・ロイヤル・バレエ版『くるみ割り人形』は、悪くはないがイングリッシュナショナルバレエ版よりは精彩に欠けるところもあり、何より初めてプリマがこけるところを見て動転してしまったのであまり楽しめなかった…こういうのはよくあるの?