オゾン史上最低〜『17歳』

 フランソワ・オゾンの最新作『17歳』を見てきた。はっきりつまらなかった…個人的に、オゾン史上最低の駄作だと思う。

 そもそも、話が私の好みからすると全く面白くない。フランスに住む17歳の美少女イザベルが夏にドイツ男と初体験してその後売春するようになるっていう話なのだが、うち、今まで若い美人が売春する映画を面白いと思ったことは一度もないし、この映画もそのつまんないただのエロ映画の系譜に入る。だいたい、『8人の女たち』や『危険なプロット』を撮るような監督が、こんな(とくに男性の)監督なら誰でも撮れるような陳腐な題材で陳腐な映画を撮ったのか理解に苦しむレベルでつまらない。

 最初の「夏」の章はわりと良くて、イザベルが初めてフェリックスとセックスする時のあの離人症的ショットとかはすごいなと思った。ただ、「冬」以降のイザベルの売春プロットはなんかもう意味わからないし「こんな女いるのかよ」と思うし、そりゃイザベルはきれいだけど別にこのくらいのきれいさなら若くて才能ある女優連れてくればけっこう撮れるんじゃないかとも思うし、全然独創性もユーモアも感じなかった。シャーロット・ランプリングが出てくるところはちょっと目が覚めるかもしれないが、あれにしたってリアリティゼロだよね。批評で'a very French and very male fantasy, like the pilot episode of the world's classiest soap opera'「非常におフランスで非常に男性の幻想、世界一オシャレな昼メロのパイロット版」とか言われているが、まさにその通りで、これ、「女の子は謎でいつも売春などの性的冒険を夢見てる」という、思春期の若い女性の内面とかには全然興味ないエロオヤジ的な幻想を丸出しにしたみたいな映画だと思う。オゾンはこの映画について「多くの女性には売春幻想があるから」といってフランスの女性からボロクソに批判されたらしいのだが、そんな考えでこの映画作ったんならまあボロクソに言われて当たり前だと思う。オゾンはオープンリー・ゲイなのだが、なんでこんなくだらない映画を作ったのかね?まあ、こんな映画をお金払って見るくらいなら『恋のミニスカウェポン』をもう一回みたほうがマシだった!