相鉄でストライキがあったそうだが、以前「ストライキ・労働争議を主題とする主要な映画リスト」を作ろうと思ってすっかり忘れていたので、この機会に作成しようと思う。日本では最近あまりストがないようだが、ヨーロッパなんかでは交通ストも日常茶飯事で、ドラマティックな展開になることもあるので映画もたくさん作られている。見たことのある有名作だけなので、たぶん他にもあると思うのだが…
・『ストライキ』(1924)
エイゼンシュテインのサイレント映画。『戦艦ポチョムキン』ほどじゃないけど、映像的にはスゴい作品。「食い物の恨みは恐ろしい」という普遍的ネタを扱っているポチョムキンに比べると話はそんなに面白くないが…
・『わが谷は緑なりき』(1941)
ジョン・フォードの有名作で、大学の映画の授業なんかでもよくとりあげられる作品。のどかな話だが、炭鉱ストライキが出てくる。
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・『蟹工船』(1953)、2009年に再映画化
『蟹工船』は二度映画化されている。1953年版はセミナーで見たのだが、森雅之が出ている。漁業労働者の酷使を主題にした、かなり大がかりな労働争議の映画である。
・『パジャマ・ゲーム』(1958)
ドリス・デイ主演で、女性の縫製工が労働争議を計画するっていう話だった気がする…のだが、なんかお気楽な話であんまりどういう内容だったかよく覚えてない…
・『ノーマ・レイ』(1979)
ストライキではなく、労組結成についての映画。サリー・フィールドが紡績工場での労働運動に目覚める女性を演じていて、演技がすごいしドラマティックな展開で結構面白かった覚えがある。
・『ジェルミナル』(1993)
ゾラが原作、19世紀末の炭鉱の労働争議についての映画。すごいお金をかけた豪華キャストの歴史大作なのだが、むちゃくちゃ暗い話でそんなに面白くはなかった…
・『リトル・ダンサー』(2000)
炭鉱のストに参加するビリーのおやじさん(ストにすごく入れ込んでいる謹直な労働者)が、息子のためにものすごくつらい思い出スト破りに参加しようとするところはとても良い場面だった。『ブラス! 』(1996)も鉱山閉鎖にまつわる争議の映画で、この頃UKでは労働争議についての映画がたくさん作られていた。
・『スタンドアップ』(2005)
ストライキではなくセクシャルハラスメントにまつわる労働争議の映画で、シャーリズ・セロンの演技は素晴らしいし良い作品だと思うが、とても暗い。
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・『ファクトリー・ウーマン』(Made in Dagenham、2010)
1960年代のUKフォードの女性縫製工たちのストライキを描いた作品で(レビューはこちら)、フェミニスト的な観点から労働運動の歴史をちゃんと描いているだけではなく、サリー・ホーキンズの演技もいいしオシャレでコミカルですごく楽しい映画だったのだが、日本未公開というのが信じられない。ファッションとか車とか、60年代レトロ感あふれる美術に力を入れた作品だったので、ヴィジュアル的に日本人にもウケそうだと思うんだが…
Mary Glasgow
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こうやって見てみると、有名作では炭鉱ストを主題にしたものが圧倒的に多いように見えるのだが、これはたぶん歴史的経緯のせいなんだろうと思う。あと、女性の繊維産業における労働運動を扱ったものが意外にあるのな。他の国でもいろんな産業の争議の映画が作られていると思うんだけど、何かあったらコメント欄で是非ご紹介を…たぶん見たけど忘れてるっていうのもあると思う。