フツーの演出、とくに面白くは無い〜RSC『ジュリアス・シーザー』

 RSCでアンガス・ジャクソン演出『ジュリアス・シーザー』を見た。

 非常に伝統的なローマふうのセットでトーガを着た政治家たちが入り乱れるオーソドックスな『ジュリアス・シーザー』なのだが、これが全然面白くない。最近の『ジュリアス・シーザー』はオールフィメールでやったり、アフリカのクーデターみたいな演出にしたり、いろいろ工夫があるものが多いと思うのだが、この『ジュリアス・シーザー』はまるで全くひねりのない古典的演出である。ただ、別に『ジュリアス・シーザー』は普通にやってもそんなにつまらない芝居だというわけではないと思うのだが、このプロダクションはあまり面白くなかった。

 まず、前半のペースがのろすぎると思う。一時間半くらいやって休憩なのだが、そこでもまだアントニーの演説にすら達していない。さらに、これは既にいろんな批評で言われていることだが、ブルータス(アレックス・ウォルドマン)が若すぎる。この芝居で若いのはアントニーやオクテーヴィアスのはずで、ブルータスは中年のしっかりした政治家であるはずなのだが、なんか妙に若作りしているせいで、ちょっと皆が重々しく人望あるリーダーを求めてブルータスを暗殺団のトップにしたいと思うところに説得力がないように思った。さらにセットがデカいせいなのか、ちょっとスラストステージがうまく使えていないように見えるところがあった(デカいセットは併演の『アントニークレオパトラ』にも出てくるのだが、こっちは奈落をたくさん使うことで解消してたと思う)。