エクスターミネイト!エクスターミネイト!〜『ピーターラビット』(ネタバレあり)

 『ピーターラビット』を見てきた。

 舞台は現代の湖水地方ウィンダミア。ピーター(ジェームズ・コーデン)、フロプシー(マーゴット・ロビー)、モプシー(エリザベス・デビッキ)、カトンテール(デイジー・リドリー)のきょうだいにいとこのベンジャミン(コリン・ムーディー)を加えたウサギ一家は、画家のビー(ローズ・バーン、字幕は「ビア」となっていたが「ビー」のほうがもとの発音に近いと思う)に可愛がられながら家族で楽しく暮らしていた。しかし、隣家にロンドンから神経質でハンサムなトーマス・マグレガー(ドーナル・グリーソン)がやってきてビーと恋に落ちる。ウサギ嫌いのトーマスとピーターたちは前面戦争に突入するが…

 童話が原作とは思えないほどヴァイオレントな作品(!?)で、トーマスは近所のウサギたちを爆薬で全滅させようとしているし、一方でピーターたちは本気でトーマスを殺す気で襲撃してくるし、これが本当にあのピーターラビットかと思うくらいである。ただ、もともとビアトリクス・ポターの原作にもえぐい描写はけっこうあるので、それを現代風にバージョンアップということなのかもしれないが、それにしても子供向けの映画としてはギリギリのかなりの暴力である。いやまあでもイギリスの子供たちは『ドクター・フー』でダーレクの「エクスターミネイト!エクスターミネイト!(絶滅させよ!)」と聞いて育っているので、そんなに驚かないのかもしれないが…ブラックベリーにアレルギーのあるトーマスがウサギたちにブラックベリーを投げつけられる場面については、アレルギー患者に対するいじめであるという批判が強くあったらしいのだが、この場面はいじめとかじゃなく本気で殺害するために行われているのでなんかもうそういうレベルじゃなかった。

 全体としてはけっこう面白かったのだが、個人的にトーマスがハロッズの等身大テディベア(私がずっと欲しいと思ってたやつ)をタコ殴りにするところは悪夢に出てきそうだ。なお、ベクデル・テストはフロプシーとモプシーの会話でパスする。