ツッコミどころは多いが楽しいアクションコメディ~『チャーリーズ・エンジェル』(ネタバレあり)

 試写で『チャーリーズ・エンジェル』(2019)を見てきた。言わずと知れた有名シリーズのリブートである。

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 とりあえず、この作品は開始時点ではメインのエンジェルが3人ではなく2人しかいない。破天荒なサビナ(クリステン・スチュワート)と真面目なジェーン(エラ・バリンスカ)がボスリー(パトリック・スチュワート)のもとで働いているのだが、初代ボスリーは引退することになり、エンジェルたちは新ボスリー(ジャイモン・フンスゥ)の下で内部告発を試みているエンジニアのエレナ(ナオミ・スコット)を助ける任務につく。ところが正体不明の暗殺者に狙われることになり、新ボスリーは死亡、元エンジェルである新・新ボスリー(エリザベス・バンクス、兼監督)のもとで活動再開することになる。

 

 事前の批評があまりにも悪かったため、テレビシリーズも前の映画シリーズも大好きである私は大変に心配していたのだが(私がわりと信用しているニコラス・バーバーがけちょんけちょんにけなしていたし、前作のファンからも不評だし、フェミニズム的メッセージを盛り込もうとして結局スカスカになったと批判されている)、全然そんなにつまらないとかダメダメだとかいうような映画ではなく、むしろけっこう楽しかった。いろいろツッコミどころのあるアクションコメディで、2000年版リブートのへんちくりんなユーモア溢れるキャンプな魅力には欠けているにせよ、この程度のしょうもないアクション映画はどこにでもある。プロットについては、過度に複雑だが結局は何もないも同然でけっこう強引…という感じだが、お気楽アクション映画なんてどれもこんなもんだと思うし、少なくとも『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』とかに比べれば10倍マシである。フェミニズム的メッセージが浅薄すぎるということで批判されており、それはそうだと思うのだが、私は正直、この手の意図的にアホっぽく作っている娯楽映画ならこんなもんだろうと思っているので(ワイスピばっかり出して恐縮だが、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』でサモアが出てくるところが多少お気楽だからってそこまで全体の評価に影響させるべきかな?)、ほとんど気にならなかった。

 

 ただ、ちょっと気になるのは、サビナを演じるクリステン・スチュワートのスターパワーが強烈すぎてあまりバランスが良くない感じがするところだ。ナオミ・スコットもエラ・バリンスカも好演で、3人でいるところはそれはそれで面白いのだが、何しろキャラ分けとしてエレナはコンピュータナード、ジェーンは体力作りに余念がない感じの勤勉なタイプなので、マイペースで色仕掛けも平気で使うが自己主張が強いサビナが一番キャラとして立っている。そしてサビナを演じるスチュワートにずば抜けた華があり、どんな服を着てもそれは反則だろうというくらいカッコよく見えるせいで、ちょっと他の2人がかすみがちになってしまう。

 

 あと、ボスリーの設定について、一カ所ファンならちょっと怒ってもいいような「歴史修正」がある。まあアホな映画でジョークとしてやってるから…ということなのだろうが、ネタバレになるから詳しいことは言わないけど、私はちょっとボスリーの退職場面では引いた。あれ、面白いかね…?