『プロデューサーズ』meets『ゲット・ショーティ』~『カムバック・トゥ・ハリウッド』

 『カムバック・トゥ・ハリウッド』を見てきた。

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 ハリウッドでB級映画を作っているプロデューサーのマックス(ロバート・デ・ニーロ)は借金まみれで、出資者である映画オタクのギャングのボス、レジーモーガン・フリーマン)に金を返さないと殺すと脅されている。マックスはスタント中の事故で役者が死亡した場合は多額の保険金が出るというニュースを聞きつけ、自殺願望のある老いた西部劇スターであるデューク・モンタナ(トミー・リー・ジョーンズ)を主演に映画を作り、途中で事故に見せかけてデュークを殺すことを計画する。ところがデュークは昔取った杵柄で、どんなにスタント中に事故にあっても生還してしまう…

 基本的にお話は『プロデューサーズ』(ブロードウェイの悪徳プロデューサーがひどい舞台を作ってコケることで金の持ち逃げを計画)+『ゲット・ショーティ』(映画オタクのヤクザが映画ビジネスに参入)みたいな話で、雰囲気は『ワンス・アポン・ア・タイム・インハリウッド』、それにちょっとばかり『ブロードウェイと銃弾』が入ったみたいな感じである。どこかで見たような展開が多く、あんまり新鮮味はない。ただし笑える楽しい映画ではあり、主演をつとめるベテランの役者陣3人に脇を固める若手もけっこう良く、映画関係の小ネタも面白い(「あの脚本をお前にやるくらいならエド・ウッドに渡したほうがマシだ」という悪口、使ってみたいが。まず一度も人生で使えそうなシチュエーションがない)。ヒドい映画を適当に作ろうとしていたのに、何をやってもデュークが生還し、さらにテキトーに雇った女性監督のメーガン(ケイト・カッツマン)がけっこう優秀であれよあれよといううちにアメリカンニューシネマっぽいまともそうな映画ができてきてしまうあたりも可笑しい。