敬意が感じられるドキュメンタリー映画~『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』

 『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』を見てきた。

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 ハリウッド映画やテレビドラマでさまざまな危険なアクションをこなすスタントウーマンを扱ったドキュメンタリー映画である。ミシェル・ロドリゲスが製作を担当し、出演もして自分のスタントをやってくれたパフォーマーたちに取材している。序盤は映画史家を呼んでサイレント映画の時代のスタントウーマンについて簡単に解説を行った後、若いスタントウーマンがベテランの著名なスタントウーマンに経験談を聞いたり、まだまだ少ない女性のアクション監督を採用する動きについて取材するなど、スタントウーマンを取り巻く様々なことがらをバランスよくまとめている。

 全体的にスタントウーマンに対する敬意が感じられる作りで、そこが大変良いと思った。ロドリゲスのような女優がスタントウーマンに敬意を表したり、若手がベテランに敬意を表したり、プロとして危険なアクションに取り組むスタントウーマンがハリウッドの歴史の中で尊敬されるべき存在だということを前面に押し出している。初期映画の頃は女性のアクションスターがかなり危険なアクションをやっており、女性や移民が活躍していたのに、ハリウッドがビッグビジネスになっていくと男性中心的になっていったというような歴史的なことも押さえており、これまでスタントウーマンが受けてきた性差別も正面からとりあげている。男性スタントに比べると女性スタントはセクシーで露出度の高いものを着なければいけないことも多く、服にパッドが入れられないのでアクションがキツいとか、ふだん映画を見ていても全く知らないようなスタントに関することがらもたくさん出てきて、大変面白かった。