『ハスラーズ』に続くストリッパー映画~『Zola ゾラ』(試写、ネタバレあり)

 『Zola ゾラ』を試写で見た。SNSでバイラルになった実話ベース(という触れ込みの)話をジャニクザ・ブラヴォー監督で映画化したものである。

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 ヒロインである黒人女性のゾラ(テイラー・ペイジ)はウェイトレス兼ストリッパーとして働いていた。ある時、ウェイトレスの仕事をしていて出会った白人のストリッパーであるステファニ(ライリー・キーオ)に、フロリダに稼げる仕事があるから一緒に行かないかと誘われる。ところがステファニはポン引きのX(コールマン・ドミンゴ)の言いなりで、売春をさせられていた。ゾラも売春をさせられそうになるが、自分の才覚でいろいろ対抗することにする。

 非白人のストリッパーがヒロインで犯罪を扱った作品という点で、よりインディーズ映画っぽい『ハスラーズ』の後継作といったところである。ただし人種差別と売春強要がテーマなので、『ハスラーズ』よりだいぶ悲惨で暗い(『ハスラーズ』もいろいろダークなところはあったが)。非白人女性同士で連帯していた『ハスラーズ』に比べると、白人のステファニは被害者である一方、かなり無自覚に人種差別的で加害者でもある(このニュアンスの富んだ描き方はかなり上手で、フロリダに向かう車内の描写などは見ているこっちが決まりが悪くなってしまうくらいだ)。ゾラが自分の機知でステファニに稼ぎ方を教えるあたりの展開の意外性は面白いし、テンポも良い。

 ただ、やはり売春強要を扱った作品ということで、全体的にユーモアで包もうとしていはいるのだろうが笑えないところも多い。また、基本的にどうしようもない男性に女性が振り回される映画ではあるので、リアルではあるもののそこもけっこう後味が悪い。あと、終盤はちょっと実話にしてはかなり盛っているのだろうな…というやや強引なところが目につく感じで、いかにも「SNSでバズる話」っぽいチープな嘘っぽさをスピード感でごまかしているのだろうという気がした。