『マーダーボット・ダイアリー』風シェイクスピア~『夏の夜の夢』

 川口のJUKUBOXでカクシンハン企画、木村龍之介演出『夏の夜の夢』を見てきた。前半のトークイベントにゲストとして参加し、後半の上演も見てきた。

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 倉庫の建物で上演する短い『夏の夜の夢』で、80分程度にカットしてある。倉庫にポンとソファを置いて(この裏側で簡単な衣装替えをするなど、いろいろな用途で使われる)、いろんな役者でとっかえひっかえいろんな役をやるというものだ。すごいスピード感だが、話は一応通っているし、あまりシェイクスピアを見たことがない人でもギリギリ理解できる程度の圧縮だと思う。倉庫であんまり音の通りは良くないのだがセリフはだいたいは聞こえるし、笑えるところもたくさんある。

 この作品は全体がAIのヘレナ(柳本璃音)が見た夢だという枠に入っている。たぶんそういうコンセプトのせいだと思うのだが、最初のほうのヘレナはミョーにセリフや動きが固くて、そのうちだんだん人間っぽくなっていく。これはトークでも話したのだが、役者は基本的にAI…というか、インストラクションのセットをインストールして別の人間に見えるようにするっていうのが演劇だと思うので、このへんは演劇というメディアとコンセプトがわりと合っているように思った。あと、全体的にちょっと雰囲気が『マーダーボット・ダイアリー』に似ていると思う。