終盤はかなり緊張感がある~ロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエット』

 上野の東京文化会館でロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエット』を見てきた。ケネス・マクミラン振付、クーン・ケッセルズ指揮によるものである。既にロイヤル・バレエの『ロミオとジュリエット』は何度か見たことがある。

 前に見た時とそんなに雰囲気が違うようには思えないのだが、演出が良いと思うところとそうでもないと思うところがあった。これ必要なのかな…と思ったのは序盤でジュリエット(ナターリヤ・オシポワ)が乳母(クリステン・マクナリー)と人形を取り合うところで、最後に人形を取り落として胸を指すあたりがなんだかえらくわちゃわちゃしていて子どもっぽすぎるような気がした。オシポワのジュリエットは、序盤は非常に活動的で元気が有り余っている子どもみたいな感じなので、このへんの動きはやややりすぎでうるさい感じがしたのだと思う。序盤と終盤の間での成長を強調したいのだろうが、ここまでやる必要あるかな…と思った。

 終盤はそういうところがなくなり、かなり緊張感がある。とくにジュリエットがロミオと出会い、父(クリストファー・サンダース)に反抗するようになってからはずいぶん大人らしく振る舞う威厳のある若い女性になる。ティボルト(ゲリー・エイヴィス)がずいぶんと自信がなさそう…というか、ふつうのティボルトに比べると癇癖が強くなく、マキューシオ(アクリ瑠嘉)を刺すところなど、全く相手を殺す気がなくて剣を振り回していたら何かの間違いで刺さってしまったというような雰囲気で、ティボルトが目に見えて動揺しているし、後悔もしている様子である。ロミオ(リース・クラーク)とティボルトの対決も間違って人が死んでしまうような感じで、2人とも本気で殺し合っているというよりは怯えており、なかなか悲惨である。