入れ子の寓話~「ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語」(配信)

 ウェス・アンダーソンによるロアルド・ダール原作短編集のひとつである「ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語」を見た。これが一番長尺で40分くらいあり、作りも凝っているし、ヴィジュアルの点でもこだわりのある作品だ。他の作品よりも入れ子構造にまとまりがあり、ヘンリー・シュガー(ベネディクト・カンバーバッチ)がたまたま読んだ本の物語が作中で語られる上、一番外側には著者のロアルド・ダールもいる。この作品が一番、面白い話が書いてある本の「読書」をそのまんま映画にしたみたいな感じである。さらに最初は強欲一点張りだったヘンリー・シュガーにだんだん心境の変化があるあたり、他の小話みたいな短編に比べると登場人物の成長が描かれていて、ちょっと教訓的な寓話っぽさもある。

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