ニコラス・ケイジというミーム~『ドリーム・シナリオ』

 クリストファー・ボルグリ監督『ドリーム・シナリオ』を見た。 

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 ぱっとしない生物学の大学教授ポール(ニコラス・ケイジ)は、ある日昔のガールフレンドのクレアとばったり再会し、クレアに最近ポールが夢に出てきたと言われる。クレアがこのことを記事に書いて公開したところ、ポールが夢に出てきたという人たちがたくさん現れる。突然有名人になったポールだったが…

 非常にシュールでへんてこな設定のコメディなのだが、全体的には現代社会における名声一般に伴う問題を扱っていて、意外とジェネラルなことがらをテーマにした作品と言える気がする。いきなりポールがいろんな人の夢に…というのは、何か思いつきでやったことや日常的ななんでもない行動がSNSで拡散されてしまうというような現代の状況を象徴的に表現していると思うし、その後のポールが経験する、本人は何も悪いことをしていないのにネガティブなミームだけが拡散してイメージが悪化してしまうという不条理な状況も、カエルのペペなんかを考えると実はけっこうよくあることだと言える。たぶんこの映画はその中心にいるのがニコラス・ケイジという現代の映画界におけるある種のミーム的な人物だということがポイントで、そこが面白さを作っているんだろうな…と思う。